文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。
ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今日は【ドイツ・フランス・イタリアの神話・伝承】シリーズ。ローマ神話について書かせていただきます。
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『ギリシャ・ローマ神話』として一括りに紹介されることの多いローマ神話。確かにローマ文明自体がその先達のギリシャ文明から大きく影響を受けており、神話も例外ではありません。ただし単なるギリシャ神話のコピーではなく、ギリシャ神話の要素も取り入れながら、独自の展開を示しました。
世界の大半の地域でそうですが、ローマでもキリスト教の普及以前には土着の信仰があり、日本の八百万の神々のように多くの神々が信仰され、生活に根付いていました。そしてギリシャ神話が入ってくると、そのローマ土着の神々をギリシャ神話の神々に当てはめていきます。それぐらいに古代におけるギリシャ文明の影響力というのは大きかった、ということです。
その一部を挙げますと
☆ローマの主神ユピテル⇒ギリシャ神話の全知全能の神ゼウス
☆ユーノー(結婚生活の女神・ユピテルの妻)⇒ヘーラー(ゼウスの妻)
☆ミネルウァ(詩・知恵・工芸の神)⇒アテーナ―
☆マールス(軍神)⇒アレース
☆ウェヌス(愛と美の女神)⇒アプロディーテ
こうしてギリシャ神話に基づいて体系化されたローマの神々ですが、ここでただの二番煎じでは終わりませんでした。ギリシャ神話は世界に成り立ちから始まって神々の愛憎劇など、主に哲学・思想・文学方面に大きな影響を与えました。それはローマだけではなく、その後のヨーロッパ文明のほぼ全てに影響を与えたと言っても過言ではないでしょう。
これに対してローマ人は、もっと実用性を重んじる人たちでした。ローマが半島の一都市から世界に冠たる大帝国に発展した要因はいくつもありますが、その一つとして建築・土木といった実用性・実用的な技術を重んじたことが挙げられます。イタリア半島から属領に向けて造られた街道。今もローマ市内やかつての属領の地に残る浴場や水道橋などの建築物。ローマ人は観念的な哲学よりも、徹底的に実用性を重視しました。
その精神はギリシャ神話の取り入れ方や、神々との関わり方にも現れます。主だった神々を毎日の「曜日」や毎月の「月」の呼び名として取り入れることで、神々がただのお話の世界だけではなく、より身近な存在となります。
例)1月(ヤーヌアーリウス)→境界と時間の神ヤヌスの月、2月(フェブルアーリウス)→浄罪と贖罪の神フェブルスの月、3月(マルティウス)→マルスの月、4月(アプリーリス)→ウェヌスの月、5月(マーイウス)→豊穣の女神マイアの月、6月(ユーニウス)→ユーノーの月 ※()内はラテン語 4月はギリシャ語アプロディーテ起源のエトルリア語アプルが起源との説が有力
曜日に関しては前回の動画をご覧ください
こうしてより実用性を高めた神々が、ローマ帝国の拡大と共にその属領にも広がっていき、各地の土着の信仰に影響を与え、同じようにその地の神々と習合したり、またはその地の神々がローマの神々に当てはめられるようになっていきます。
それは特にローマの最重要属州であったガリア(ほぼフランス)で影響力のあったケルト人の神話、そしてローマと何度も戦ったゲルマン人の神話に影響を与えていきました。
そしてギリシャ神話にはなくて、ローマ神話特有の要素として挙げられるのが、【ローマ建国神話】です。ギリシャ・ローマ両方の神話に登場する、半神の英雄アエネアースがトロイア戦争で敗れて各地を放浪した末にイタリア半島にたどり着く。そしてアエネアースの子孫がローマを建国するという物語です。本邦の記紀神話でいうところの、『神武の東征』に当たるような物語といえるでしょうか。
まとめますと、ローマ神話とは「面白いけどやや複雑難解なギリシャ神話を、実用性を高めて身近なものにして、より広範囲に広めた」と言えます。
今後のこのシリーズでは、ケルト神話やゲルマン神話についてお話しした後、【ローマ建国神話】についても書いていきます。
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