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【ドイツ・フランス・イタリアの神話・伝承】ケルトの御意見番・ドルイドとは?

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。


ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

今日は【ドイツ・フランス・イタリアの神話・伝承】シリーズになります。

今日の内容は、ケルト神話のみならず、その文化を語るのに欠かせない存在、ドルイドにつてご紹介いたします。




ドルイドとは、ケルト人の社会・文化において、とても大きな影響力を持つ神官です。

その呼び名の由来はいくつか説があるようですが、そのうち有力なものとしては、


ドル(またはドゥル)→「オークの木」+イド→「賢者」=『オークの木の賢者

ドル(またはドゥル)→「たくさん」+イド→「知る」=『多くを知る者


の二つが有力とされてます。


いずれにしても多くの知恵・知識を有することで、ケルト人の生活に大きな影響力を持ちました。日本では「ナラの木」と呼ばれる「オークの木」は、ケルト人にとってとても神聖な木とされています。神聖なだけではなく、ブタがその木の実を食べたり、その木の実を挽いてパンにして食べたりと、人間や家畜にとって生命の根源力となる大事な木でもありました。


ドルイドには7~12年の修業期間を経てなります。女性形では『ドルイダス』となります。


毎月6日に白衣を着て黄金の胸当てを付け、白い牛二頭を生贄に捧げ、木に登って黄金の三日月形の鎌で宿り木を切り、白い布に置いて祈りを捧げるという儀式を行いました。この宿り木は煮て飲むと血圧を下げたり、潰して貼って化膿止めにしたりと、万能薬として用いられました。


ドルイドの役割はこうした儀式を行う神官・祭司としてだけにとどまらず、王の顧問としての政治指導、個人間の紛争や揉め事の調停という裁判官のような役割など多岐に渡りました。


こうして一人何役もこなすドルイドですが、時代が下るとともに徐々に役割分担が進んできます。それは概ね次の三つとなりました。


①立法者 ②祭司と政治 ③詩人


また特にガリア(概ね今のフランスとその周辺の地域)では、占い師としての働きもあったようです。


この中で特に為政者にも民に大きな影響力を持ったのが、③詩人です。ケルト人は独自の文字を持つことがなかったため、国の法律、王家の家系から古い物語、英雄伝に至るまでをドルイドが全て記憶して口伝えで伝えていきました。しかもただ単に内容を一方的には話すだけではなく、聞く人が覚えやすいように韻律を踏んで唄を歌うようにして伝えていきました。


そしてこの詩人の中でも、①「語り部(フィラ)」、②「吟唱詩人(ポエルジ)」、③「吟遊詩人(バード)」という、主に三つの役割分担がありました。


②「吟唱詩人(ポエルジ)」は王の宴の席で竪琴を奏でながら、英雄物語を歌います。③「吟遊詩人(バード)」はこうした多くの物語を、他の王城や地域を巡って広めていきます。ケルト人は最大で西はイベリア半島から東はトラキア(現ルーマニア付近)まで。南は現イタリアのロンバルディア平原から北はデンマークまで。「ヨーロッパ文化の基礎」「ヨーロッパのルーツ」と言われるほど広範な地域に定着したので、王や騎士の英雄物語がこれら広範な地域に広まれば、それはそれは大変な宣伝効果になったことでしょう。


そのため王や騎士たちは、これら詩人としてのドルイドたちの機嫌を損ねて悪い話を広められないように、このドルイドたちには大変な気の使いようだったとか。またドルイドが仲裁した紛争や揉め事の調停結果に対して不服を言ったり従わなかったりすると、それだけでその人はケルト社会の中での信用を失うこともありました。それぐらいにこのドルイドというのは、ケルト人の文化・社会の中で大きな影響力を持っていました。


現代で言うなら、テレビ番組の人気コメンテーターや芸能人、またはSNSのインフルエンサーや人気ユーチューバーといったところでしょうか。


このドルイドの特に詩人としての働き。これが特にガリアの地では、後々のフランス人に大きな影響を与えたのでは?と個人的には考えています。フランス人が詩や文芸・文学、特に自国フランスの詩・文芸・文学、ひいては自分たちの話すフランス語そのものに対して強烈な誇りを持つこと。そして自身が他者と違うということを強烈に言葉で表現すること。時に辟易するほどの自己主張の強さ。それらは大元をたどると、このケルトのドルイドたちが「言葉」を駆使して、それに抑揚や韻律を付けたりしながら身に付けた知識などを王や民たちに口伝で伝えていたことに起因しているのではないか?と感じた次第です。


今回は、ケルト神話そして文化におけるドルイドの存在の大きさをご紹介しました。次回以降、これを踏まえてケルト神話とそれが後のフランスに残した影響について書いていきます。


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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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​小園 隆文 こぞの たかふみ

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