こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。
ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今日は【ドイツ・フランス・イタリアの神話・伝承】シリーズになります。
まずはローマ建国神話のご紹介です。
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物語は古代イタリア半島中部の都市、アルバ・ロンガから始まります。一四代の王にわたり平和な御代が続いていましたが、一五代アムリウス王の時に混乱が来ます。兄ヌミトルを押しのけて王位に就いたアムリウスは、兄の幼い娘レア・シルウィアの美しさを見初めます。そして大人になって自分の子を生めるようになるまでに、他の男に手を付けられたらたまらないと、ウェヌス女神の巫女にしてしまいます。
巫女となったシルウィアはある晩、不思議な夢を見ます。髪を結わえる紐が聖火の前に落ち、そこから生えた木が空に向かってグングンと伸びていくというものでした。そしてその夢には、軍神マルスも出てきました。マルスはシルウィアの美しさに目を見張り、シルウィアもまたマルスのたくましさに見惚れて…。
そんなところで目が覚めて夢は終わりましたが、朝起きてみるとシルウィアは体に気だるさを感じます。やがてシルウィアは妊娠していることが判明します。夢の中で軍神マルスの子をお腹に宿していたのでした…。
これに怒ったアムリウス王はシルウィアを城の一室に監禁します。処女神ウェヌスの純白さを汚したという罪で。そしてシルウィアが産んだ子供は、ティベリス川に流されることになりました。
シルウィアが産んだのは双子の男の子でした。川に流された二人は、急流に揉まれる時もありましたが、運良く土手に押し流されて草むらの上に置かれ、そこがクッションとなって助かりました。しかし母乳はもちろん何日間も何も食べていませんから、お腹はペコペコです。二人は大泣きしていました。
その泣き声を聞きつけた、お産を終えたばかりの牝狼が二人の元にきました。牝狼はお腹が空いて泣いている二人の赤子を見て可哀そうに思ったのか、自分の乳を二人に呑ませてあげました。二人はまるで牝狼が自分の母であるかのように、乳をたくさん吞みました。しばらくするとキツツキが二人の赤子を見張り、エサも運んできてくれるようになりました。牝狼とキツツキに見守られながら、二人の赤子は元気に育っていきました。
そんなある日、王家の牧夫であるファウストゥルスが洞窟で二人を見つけ、家に連れて帰ります。シルウィアが産んだ可哀そうな子供たちだと直感したファウストゥルスは二人を引き取って育てることに決め、名前をそれぞれロムルス、レムスと名付けました。
ファウストゥルスの元でたくましく育ったロムルスとレムスの二人は、ある時二人が羊飼いたちと一緒にいると、ヌミトルの羊飼いたちとケンカになり、レムスが連れ去られえてしまいます。
家に帰って「絶対にレムスを連れ戻す!」と意気込むロムルスに、ファウストゥルスは遂に真実を打ち明ける時が来たことを確信し、二人の出生の秘密をロムルスに語り始めます。二人の本当の母親はシルウィア姫であること、アムリウスとの間以外の子を生した罰で今監禁されていること、二人はティベリス川に流されたところを運良く助かり、牝狼に育てられていて、そこを自分が見つけて引き取ったこと…。全てを聞いたロムルスは、改めてここまで育ててくれたファウストゥルスに感謝するとともに、ヌミトルと協力して母シルウィアを助け出すことを誓います。
そしてヌミトルと共にアルバ・ロンガの城に乗り込んだロムルスとレムスの二人は見事にアムリウス王を倒して母シルウィアを救い出いし、ヌミトルを王に付けることに成功します。
こうして二人は再びファウストゥルスの元に戻り、今度は新しい都市建設を手掛けるようになりました。ロムルスとレムスの二人がそれぞれグループのリーダーになって建設を進めますが、段々と二人の間にライバル意識が芽生え、対立することが多くなります。
二人の対立を見かねたヌミトル王が鳥占いで、神の判断にゆだねるように諭しますが、それでも二人は納得がいきません。遂には人目もはばからずに大げんかを始めた二人。これを止めようとしたファウストゥルスが野次馬に押されて踏みつぶされ、やがて息絶えて死んでしまいます…。
自分たちの争いが原因で養父ファウストゥルスが死んでしまったことを悔いた二人は、冷静になって話し合います。そしてロムルスがリーダーとなることにしました。ロムルスの弁舌の上手さにレムスは上手く言い返せませんでした。
リーダーになったロムルスは、少し調子に乗り過ぎてしまったか、やや横柄な態度が目立つようになります。そんなロムルスのことをレムスは冷ややかな目で見ていました。レムスは腹の底から納得したわけではありませんでした。そしてロムルスが都市を過去も城壁を造った時、「こんなものは簡単に飛び越せる!」といとも簡単に飛び越えてしまいました。これを見たロムルスは思わずカッとなり、人夫が持っていたシャベルを奪ってレムスを殴打。そしてレムスは死んでしまいます…
教訓
【ロムルスとレムス、どちらが兄で弟かは定かではありません。ただ仲の良い兄弟が、こういう形で仲違いして一方が命を落としてしまうのは、悲しいことですが…。やはりロムルスにはリーダーとしてやや、レムスの気持ちに配慮する点が欠けていたのでしょう。またレムスの方にも、人前でロムルスのリーダーとしての面子を潰すような言動がありました。お互いがお互いの気持ちを思いやる余裕に欠けていたのかもしれません】
そんな悲劇もありましたが、無事に新しい都市は完成。ロムルスは自分の名前を取って「ローマ」と名付けます。ローマ建国史では紀元前753年4月21日のこととされます。ロムルスがまず初めに行ったことは、レムスとファウストゥルスを丁重に葬ること。
続いて神々の神殿を建てていきます。カピトリウム丘に天空神ユピテルと軍神マルスの神殿を。カピトリウム丘とパラティウム丘の間に公共広場フォルムを。そこに処女神ウェスタ、祖先の守り神で食品戸棚また家族繁栄の守護神でもあるペナテス、出入り口の守護神ヤーヌスの神殿を建てました。
意外な気付き
【祖先の守り神で食品戸棚の守護神ペナテスの神殿を建てた、というのが面白いポイントです。後のローマそしてイタリア人が家族を大事にするのも、実はこんなところが深層心理になっているのかもしれません。そしてイタリアがグルメの国であるのも】
こうして新しい都市ローマがその歴史の第一歩を記しましたが、ここに来るまでにはもっと長い道のりを辿ってここに至りました。次回以降のブログでは、その道のりをご紹介します。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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