こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。
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今日は【ドイツ・フランス・イタリア三国史】シリーズになります。
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三兄弟による反乱を鎮め、ひとまずは国王位に復帰を果たしたルートヴィヒ敬虔王。これに懲りて少しは気持ちを入れ直すかと思いきや、またもやユディト妃にせっつかれて性懲りもなくシャルルをひいき。今度は一度ピピンに与えたアクィタニアをシャルルに与えることに。少しは失敗から学びましょうよ、と言いたくなるお方です。
こうなるとやはりピピンやルートヴィヒも面白いはずがなく、王の側近たちもその職権乱用に呆れて再びロターリオをそそのかし、これを受けたロターリオが北上。ピピン・ルートヴィヒも兄に合流します。そして今度もユディト妃をイタリアに追放し、ルートヴィヒ敬虔王をシャルルを修道院に軟禁。ロターリオは父の帝権を奪います。
しかしまたしてもロターリオ対ピピン・ルートヴィヒで対立。これにユディト妃の側近たちも絡んでの利権争い。ピピンとルートヴィヒは二度も父に対して反乱を起こしたことを後悔し始め、協力して父の復位を果たすことに。こういう争いをするにはやや人が良過ぎるのかも…?
王国の民はルートヴィヒ敬虔王を支持します。ロターリオは何とか軍勢を集めて父への対抗を試みますが、弟たちも側近たちも敬虔王を支持。形勢不利を悟ったロターリオは撤退を決断。長男ロターリオ、野心と権力欲は人一倍強いのですが、ここ一番!という勝負所でいつも詰めが甘く勝ちきれない、勝負弱い。こちらも父と同じように同じ失敗を繰り返します。父も父ならその子も子、といったところです。
何とか復位を果たしたルートヴィヒ敬虔王ですが、またも懲りずにシャルルへのひいき。これに反発するロターリオがこの後も父を打倒する機会を伺う。共に失敗から学ばない二人がこんなことを繰り返しているうちに、838年に次男ピピンが死去。そして840年には敬虔王も問題の火種を残したまま死去。
ここでロターリオは「我こそは王国の正統な継承者」と宣言。これまでの王の側近たちはここぞとばかりにロターリオに群がります。そしてロターリオはこれを機にルートヴィヒとシャルルを倒して、自分が全てを獲ることを画策します。これに対してルートヴィヒとシャルルは「もはや長兄ロターリオと力で対決するしかない」と共闘を決意。
841年、フォントノワで激突した両軍の戦いはルートヴィヒ・シャルル連合軍の勝利。しかしロターリオにとどめを刺すには至らず、兄弟間の争いは続きます。その後も両者間で少しでも味方を増やすための工作・駆け引きが行われますが、ロターリオはこれまでの行いが悪かったせいかいまいち信用を得られず、徐々にルートヴィヒ・シャルル連合側が有利に。
そして842年2月、ルートヴィヒとシャルルは現仏独国境の街・ストラスブールで各々の軍勢を集めて「ストラスブールの誓約」を行います。自軍の兵士にはもちろん、ルートヴィヒはロマンス語、シャルルは古ドイツ語で相方の兵士にも「共に闘い、兄ロターリオに神の裁きを!」と。
こうしてロターリオ対ルートヴィヒ・シャルル連合軍はヴォルムスで対峙。しかし相手の軍勢を見て勝ち目のなさを悟ったロターリオは戦わずして撤退。こういう時の逃げ足の速さは一級品です。これもまた生き残るためには大事なことです。
その後も虚々実々の駆け引きを繰り広げるロターリオ対ルートヴィヒ・シャルル連合軍。しかしノルマン人やスラヴ人などの侵入が激しくなる情勢に、側近たちが「いつまでも兄弟争いを続けていては王国が危ないです」と諭され、交渉の席に。紆余曲折の交渉の末に、843年ヴェルダン条約が成立します。
長男ロターリオにはイタリアと大西洋からアルプスに伸びる細長い領地からなる「中部フランク王国」、ルートヴィヒにはゲルマニア一帯の「東部フランク王国」、シャルルにはガリア一帯の「西フランク王国」が与えられ、フランク王国は三分割されます。
こうして当面の落としどころを見出したフランク王国の相続争い。ですがこの後もまだまだ一山ふた山、ひと悶着もふた悶着もありますが、それはまた次の機会に。
今回はここまで。続きは次回を楽しみにお待ちください。
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