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【ドイツ・フランス・イタリア三国史】マイナーな人物に意外な名言。「国王は実力あっても○と○○」がなければダメ

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。


ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

今日は【ドイツ・フランス・イタリア三国史】シリーズになります。


過去のブログはこちらからお読みください。



前回のブログでは


東フランク王・イタリア王・西ローマ皇帝→アルヌルフ(887~899)

西フランク王→シャルル三世(893~929)


という状況までお伝えしました。その後の状況ですが、ドイツ・イタリアで大暴れしたアルヌルフは899年に死去。東フランク王にはルートヴィヒ四世・幼童王(900~911)が即位します。即位の時にわずか六歳でした。一方イタリア王には、しぶとく生き残っていたベレンガーリオ一世(888~924)が再度単独国王として返り咲きます。


そのルートヴィヒ四世・幼童王も911年、17歳で死去。跡継ぎも残せず、ここに東フランク王国ではロリング家の血筋が途絶えることになります。以後、東フランク王は有力諸侯による選挙制で選ばれていくことになります。この結果選出されたのが、幼童王の母方の甥になるコンラート一世(911~918)です。


しかしコンラート一世、国内では諸侯の対立、外ではマジャール人やノルマン人の襲撃と内憂外患。これらの事態に上手く対処する事が出来ませんでした。そんなコンラート一世、国王としては目立った実績を挙げられませんでしたが、死に当たっての王位継承において、名言というか、含蓄のある言葉を残します。まず王位継承を「弟エーベルハルトではなく、ザクセン公ハインリヒに譲る」と遺言。ザクセン公ハインリヒはコンラート一世にとっての政敵です。なぜよりにもよって政敵に?その答えは次の通り。


「コンラート家の者は王としての実力はあるが、運と威厳に欠ける


何事にも実力があるのに越したことはありません。しかし個人の実力というのは自ずと限界があり、自分の実力で及ばない点は他人に補ってもらう必要があります。特に国王のように、王国内の隅々に目を配らなければならない地位では、自分が何でもかんでもやっていたら、いくら実力のある人でも心身が持ちません。


ハッキリ言えば国王は、自分は全然実力がなくても、実力のある部下を使いこなせればいいのです。むしろ下手に実力のある国王の方が、自分の腕を過信して無理をし過ぎて、悲惨な最期を迎えてしまうこともあります。国王は自分は王宮に座っているだけ。実際の実務は臣下がやってくれて、最後の決断をすることと責任を取ることが国王の一番の仕事。そしてそういう自分ではほとんど何もしない国王の方が、実は意外に名を挙げたり天寿を全うしたりする。


こういう話、何も国王に限らず、会社の社長や部署の責任者クラスの話でもよくあることではないでしょうか?あれこれと細かいことにまで口出しする社長や上司の下では、部下がやりづらくて意外と業績が上がらない。逆に「いるのかいないの、普段何やってんのかよくわからない」、そんな社長や上司の下では余計な干渉がない分、部下が延び延びと力を発揮できて業績も上がっている。


でも部下に何でもかんでも好き勝手にやってもらう訳にもいかないから、肝心要のポイントだけはしっかり押さえておく。現実的には規則・決めごとということになるのでしょうが、そこでこのコンラート一世が最期に残した言葉、「運と威厳」。これが国王でも社長でも中間管理職でも、およそ人の上に立つ立場の方には不可欠です。


「この人が上司になってから、何か雰囲気が変わって業績も上向いてきたな」「この人の下なら勝てそうだな」「この人が来てから、何かいいこと続いているな」。こういう風に思われるのが、「運のいい上司」です。


「この人を何とか男にしてあげたいな」「この人の顔を潰すようなことはできないな」「この人の言うとおりにやってみよう」。こういう風に思われるのが、「威厳のある上司」です。


そしてこの「運と威厳」を身に付けるには…?私のおすすめの一つはやはり歴史を学び、古典を読むこと。色々な人の生きざまや価値観に触れることで、時間はかかりますが確実に人間的成長に繋がります。それによってオーラというものが身に付いてくることもありますし、色々な歴史の事例を多く学んでおくことで、「運をつかむ能力」というのも気がついたら上がっているかもしれません。この手の話は短時間では終わらないので、ひとまずは終了。


話をコンラート一世に戻しますと、「コンラート家の者は王としての実力はあるが、運と威厳に欠ける」という含蓄のある言葉ある言葉を残して、政敵のザクセン公ハインリヒに王位を譲り死去します。治世中は大きな業績は上げられませんでしたが、王国の分裂を防ぐために最期に下した決断は、私情を排した立派なものでした。


こうして政敵から禅譲を受けたハインリヒがハインリヒ一世として即位。こうしてザクセン朝という新しい王朝が始まります。「運と威厳」の話で長くなってしまったの、今日はここで終わります。


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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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ドイツ・フランス・イタリア三国史

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​小園 隆文 こぞの たかふみ

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