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【ドイツ・フランス・イタリア三国史】親の不徳は子孫に祟る?鬼の居ぬ間にあこぎな叔父たちがメルセン条約締結

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。


ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

今日は【ドイツ・フランス・イタリア三国史】シリーズになります。


過去のブログはこちらからお読みください。



左・843年ヴェルダン条約

右・870年メルセン条約


843年のヴェルダン条約により、シャルルマーニュ・カール大帝のフランク王国は、東フランク王国・中部フランク王国・西フランク王国に三分割されます。


東フランク王国では、ルートヴィヒ一世・敬虔王の三男であったルートヴィヒ二世・ドイツ人王が即位します。西フランク王国では異母弟のシャルルがシャルル二世・禿頭王として即位します。ルートヴィヒ二世は876年まで、シャルル二世は877年までの長期安定王権となりました。


しかし中部フランク王国では、ロターリオ一世が855年に死去します。継いでいくのはその子たちであるのですが、ロターリオ一世の生前の行ないが良くなかったせいか、なぜかこの王国だけ王権が安定しません。長男のロドヴィーコ二世がローマ皇帝位とイタリア王国を、次男ロターリオ二世がフリースラントから北部ブルグントに至る、東西フランクに挟まれた細長い領地を、三男カルロが低地ブルゴーニュと高地ブルグントをそれぞれ分割相続します。


そして三男カルロが863年に死去してしまうと、低地ブルゴーニュがロドヴィーコ二世、高地ブルグントがロターリオ二世にこれまた分割相続されます。


869年、今度は次男ロターリオ二世が死去します。筋から言えば長男ロドヴィーコ二世が受け継ぐのでしょうが、この時ロドヴィーコ二世は半島南部でイスラム勢力と戦っていて協議に加われず、結局このロターリオ二世の領地は伯父に当たるシャルル二世・禿頭王のものとなります。このあたりにロドヴィーコ二世、親(ロターリオ一世)の不徳の清算を一手に引き受けさせられている感が無きにしも非ず、です。シャルル二世・禿頭王からすれば、親父に散々いじめられた辛さを、その子に倍返しにして仕返ししてやった、というところでしょうか。


この次男ロターリオ二世が領有していた土地は、その名に因んで「ロタリンギア」と呼ばれるようになりました。後の独名ロートリンゲン(仏名ロレーヌ)の語源となっています。


しかしこのロタリンギアの地。後世には特にアルザス・ロレーヌ(独名エルザス・ロートリンゲン)が独仏両国が戦争をする度に領地替えとなった土地柄です。その地政学的要因は今も昔も変わらず、それ故に東フランク王国にも密接に関わってくる問題で、ルートヴィヒ二世・ドイツ人王も黙って見過ごす訳にはいきません。かつてはロターリオ一世相手に共同戦線を張った盟友同士であったルートヴィヒ一世とシャルル二世ですが、すでにお互い一国一城の主。昔の友情などという、甘くて青臭い感情だけでは政治は行えません。


そこで両者は、このロタリンギアをいかにお互いにとって良いように分け合うかを話し合います。そこにはまたしてもロドヴィーコ二世はいません。やはりイスラム相手の戦いに手が離せません。それをいいことにルートヴィヒ一世とシャルル二世は勝手に話を進め、そして締結されたのが870年のメルセン条約です。



要はロタリンギアと呼ばれる、かつての中部フランク王国の細長い回廊のような土地を、ルートヴィヒ一世とシャルル二世で分け合ったものです。中部フランク王国が一人負けの内容です。ここでもルートヴィヒ一世とシャルル二世、親父(ロターリオ一世)に散々いじめられた腹いせを、その長男ロドヴィーコ二世相手に返しました。大人げないといえば大人げないのでしょうが、相手が強い時には頬かむりして耐え忍び、相手の力が弱ったところを叩く。それが冷徹な政治の厳しさでもあります。ロドヴィーコ二世としては、とんだ親のとばっちりを受ける羽目になりました。


ともあれこうして、かつてのフランク王国はこれで分割化がより明確になりました。このメルセン条約で、


東フランク王国→ドイツ 西フランク王国→フランス イタリア王国→イタリア


それぞれ三国の大枠が出来上がったとされます。


この相続争いから学べる教訓としては

☆相手が強い時は耐える、弱くなったっら遠慮なく叩く

☆子孫に迷惑をかけないよう、親はその行動に注意すべし


というところです。特に二つ目は背筋を正して聞きたいところであります。


今回はここまで。続きは次回を楽しみにお待ちください。




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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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ドイツ・フランス・イタリア三国史

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​小園 隆文 こぞの たかふみ

日本人のための世界史作家

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