こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。
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今日も【ドイツ語・フランス語・イタリア語の名句】をご紹介していきます。
今日はこちらのことわざです
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【独】Wer warten kann,hat viel getan 待てる人は多くを成し遂げた
【仏】Tout vient à point à qui sait attendre 待つ人には何事も来るべき時に来る
【伊】Chi può aspettare ottiene ciò che egli desidera 待てる人は欲しいものを得る
獲物欲しさにガツガツするのではなく、「待つ」ことの大事さを説いたことわざです。日本で「待つ」ことの大事さを説いた名句といえばやはり徳川家康の、「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(ほととぎす)」でしょうか。家康は幼少時代は今川家への人質、その後も信長の先鋒隊のような扱い、信玄にはボロ負け、秀吉への臣従など、辛抱と忍耐を強いられるような数々のことを経験しながら自分の時を待ち、最後は戦国時代の覇者となりました。実際に転嫁を意識しだしたのは、秀吉がもうそんなに長くないという時期になってからのようですが、この「鳴かぬなら~」の句は、待つ間にも腐ることなく自分の準備をし続けた、家康の生涯を上手く表しています。
私などもまだまだ未熟なため、とかく目先の利益に気を奪われて焦って先走ってしまう…。そんなことを何度も繰り返してきました。「このチャンスを逃したら次はもうないのでは?」。要は自分に自信がないんですね。それで先のもっと大事なことよりも、自分を安売りして当面のことに振り回されてしまう。今は年齢相応に失敗や経験を重ねて、それなりに少しは落ち着いて行動できるようにはなりましたが、それでもまだまだ…。お恥ずかしい限りです。
16世紀のフランス王にアンリ四世(1533~1610)という人がいます。フランス人には今でもナポレオン・ボナパルトよりも高い人気がある王です。
アンリが生きた時代のフランスは、カトリックとユグノー(プロテスタント)の宗教内戦が激しい時代でした。そんな時代にユグノー教徒として育てられたアンリはしかし、大人たちの政治的な思惑に振り回されながら、いばらの道の人生を歩みます。王宮に人質に取られたり、カトリックの王女と政略結婚を強いられたり、戦場においては勝ったり負けたりを繰り返し…。その間、ユグノーとカトリック間で五度の改宗を繰り返します。
それでもアンリは持ち前の陽気さと楽天さを失わず、周囲の大人たちを秀吉級の人たらし術で取り込んでいきます。普通は五回も改宗すれば、「何と節操のない奴だ」と呆れられますが、アンリはカトリック側では人質として重宝され、ユグノーに戻ればそのまま頭領として担がれました。
またアンリが改宗を繰り返したのは、「あたら命を無駄にせず、将来の大事のために今は耐える・待つ」という信念からのものです。下手に逆らって信仰に固執して改宗を拒んでいれば、その場で命を落としてその後の大事は成らなかったかもしれません。アンリは激動の時代に生まれて、戦場での戦いや王宮での権謀術数を経験することで、「待つ」ことの大事さを自然と身に付けていました。
そして1589年、他の政敵が倒れ、前王の血筋が途絶えたこともあり、アンリ四世として即位。『ナントの勅令』の発布によりユグノーにも信仰の自由を認め、40年続いたフランスの宗教内戦を終わらせました。それが今でも高い人気を誇る理由です。
目の前に利益があると、ついついすぐに飛びつきたくなる。特に何かと苦しい時ほど。しかしそこで一呼吸おいて「それを得るのが本当に利益になるのか?正しいのか?」と見つめ、場合によっては「次の機会を待つ」ことも大切です。特に苦しい時、獲物欲しくてガツガツしている時は大局が見えなくなりがち。また現代は何かと「早く!速く!」と個人も社会も急かされがちなので、なおさら一呼吸「待つ」ということを意識されてください。
【独】Wer warten kann,hat viel getan 待てる人は多くを成し遂げた
【仏】Tout vient à point à qui sait attendre 待つ人には何事も来るべき時に来る
【伊】Chi può aspettare ottiene ciò che egli desidera 待てる人は欲しいものを得る
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日ご紹介したアンリ四世については、以下の書籍でもっと詳しく書いています。ぜひお読みください。
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