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【ドイツ語・フランス語・イタリア語の名句】ヨーロッパでは月桂冠、日本では兜、文化の違えども、勝った時こそ…

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。


ブログを読んでいただき、ありがとうございます。

今日は【ドイツ語・フランス語・イタリア語の名句】シリーズになります。


【独】Mann soll sich nicht auf seinen Lorbeern  月桂樹の上で休むな

【仏】Ne pas s'endormir sur se lauriers  月桂冠の上で眠らない

【伊】Non dormire sugli allori. 月桂樹の上で眠るな



日本人にとってしっくりくる言い回しでは、【勝って兜の緒を締めよ】でしょう。

勝った時こそ、奢らず調子に乗らず、気持ちを引き締めることの大事さを伝える言い回しです。


オリンピックでメダリストの頭上に被せられることでお馴染みの月桂冠。これは月桂樹の葉のついた枝をリング状に編み合わせて冠にしたものです。


これはギリシア神話のアポローンの故事に由来しています。アポローンは女神ダブネーに恋焦がれますが、最終的にフラれてしまいます。それでもダブネーへの恋心が消えないアポローンは、「ならばせめて、私の聖樹になってもらえないか?」と懇願。月桂樹となったダブネーは枝を揺らして頷き、アポローンの頭上に月桂樹の葉を落とします。以後、デルポイのピューティア大祭で行われる色々な競技の優勝者の頭上に、月桂冠がかぶせられるようになりました。


さて、語句の話に戻ります。私なども、ちょっと物事が上手く進むと、「オレって凄いな、最高だな」とすぐに調子に乗ってしまいます。もちろん成果を上げた自分に自信を持つことはいいことなのですが、同時にこのようにも思いたいもの。


「今回は運が良かったな」「周りの人の協力のおかげだな」「今回は上手く行ったけ、あそこは直した方がいいな」


このように謙虚に自分と事例を見つめ直すことが出来れば、その後の人生でたまに失敗したり負けたりすることはあっても、順調に階段を登っていくことができるでしょう。しかし「上手く行ったのは自分が凄いから!」などと浮かれているだけでは、すぐに落ちていってしまうでしょう。お恥ずかしながら、かつての私は完全に後者のタイプでした。今もまだまだ発展途上ですが、かつてに比べればだいぶ「おかげさまで」という気持ちが持てるようにはなりました。


人は負けや失敗からは謙虚に学ぼうとします。しかし大事なのは勝った時や成功した時。そこで何を学ぼうとするか、そしてそこから学ぼうとする謙虚な姿勢を持つことができるか。それによって、その後の人生が大きく変わってきます。


「勝って兜の緒を締めよ」を語を遺した戦国武将・北条氏綱には、優秀な家臣団がいました。日露戦争の勝利後、この語を訓戒として用いた連合艦隊長官・東郷平八郎には、艦上では秋山真之という名参謀がいました。しかし同時に東郷は、「日本海海戦の勝利は小栗氏の功績によるところ大であります」と、幕末にフランスの協力を得ながら横須賀に造船工場を建てた、旧幕臣の小栗上野介忠純の遺族に謝辞を述べました。もっとも晩年は神格化され過ぎて、アンタッチャブルな存在になってしまったのが残念ですが…。


日本において帝王学の書として有名な『貞観政要』という古典があります。これは支那の唐王朝の二代目皇帝・李世民(太宗)とその家臣との問答をまとめたものです。このやり取りで太宗は、思い上がった時や間違った考えを持ってしまった時、家臣団から結構ボロクソに言われています。むかっ腹も立ったでしょうが、しかし太宗はグッとこらえて「もっともである」と家臣の諫めを素直に聞き、「貞観の治」と呼ばれる反映した時代を築きました。日本では徳川家康、そして明治天皇もこの『貞観政要』を自身の座右の書としたことで有名です。


ヨーロッパでは三十年戦争(1618~48)で活躍した王に、スウェーデン国王グスタフ二世アドルフがいます。このグスタフ二世にはオクセンシェルナという名宰相がいました。グスタフ二世は今でもスウェーデン国民に非常に人気の高い国王ですが、時に熱くなり過ぎて猪突猛進してしまうことがありました。そんな国王を宰相オクセンシェルナが冷静に諫めることで、バランスが保たれていました。


ある時グスタフ二世が「オクセンシェルナよ、人が皆お前のように冷静だったら世界は凍り付いてしまうな」と述べると、「人が皆陛下のように短気であれば、世界は燃え尽きてしまいます」と帰した、というやり取りが逸話として残っています。熱血漢の国王と冷静沈着な宰相という二人の絶妙なバランスで、17世紀のスウェーデンはバルト海の覇権を握ります。もっともグスタフ二世、三十年戦争では熱血漢過ぎて戦場で討ち死にしてしまいましたが…。


何を言いたいかというと、「周りに諫めてくれたり、注意してくれる人を持っておく」ことも、自分が謙虚になれるための一つの手です。自分で自分のことはなかなかわからないもの。冷静に自分のことを見てくれる人、参謀・上司・恩師・伴侶…、そうした人がいることでだいぶ有頂天になることを喰いとめられるでしょう。


もし身近にそういう人がいなければ、歴史に学ぶことをお勧めします。歴史は個人でも国家でも、先人たちの成功・失敗の事例の宝庫です。「成功した人の共通した考え方」や「敗者のほとんどやらかした大失敗」など、本当に多くの事を学ぶことができます。


他人に言ってもらう、先人に学ぶ、方法は色々ありますが、いずれにしても成功した時、上手く行った時、勝った時こそ、謙虚に自分を見つめるクセをつけましょう。


【独】Mann soll sich nicht auf seinen Lorbeern  月桂樹の上で休むな

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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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​小園 隆文 こぞの たかふみ

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