こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。
ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今日は【ドイツ語・フランス語・イタリア語の名句】シリーズになります。
今日はこちらのことわざです。
【独】Die dümmsten Bauern ernten die dicksten Kartoffeln.
一番愚鈍な農夫が一番大きいジャガイモを収穫する
【仏】La fortune rit aux sots 幸運は愚か者に微笑む
【伊】Fortuna favorisce gli sciocchi. 幸運は愚か者に味方する
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バカとか愚か者とストレートな表現が使われていますが、この文脈では「素直」「純真無垢」という意味で受け取ってみましょう。
「素直」「純真無垢」とは、自分の意思もなくただ単に言われるがままになるだけの骨抜きとは違います。私の解釈では、与えられた条件や環境の中で、とにかく全力を尽くしてやってみるという強さです。またそれに伴って他人の意見や教え、指摘を受け入れられる器の大きさです。
なまじ頭が良かったり、自分の腕に覚えがあったりすると、他人の意見をなかなか素直に受け入れられません。そして我流のやり方をしてある程度までは上手く行くけれども、そのもう一つ上の段階になかなか行けない…。あなたの周りにもいませんか?頭はいいし、知識もあるし、実力もあるのだけれど、いま一歩突き抜けることの出来ないもったいない人…。
一方で最初は「バカ?」と言ったら失礼ですが、「この人、これで大丈夫かな?」と思われていた人が、気がついたらいつの間にか上昇気流に乗って、考えもつかなかった地位・ポジションにまで行っている。でも歴史上でも、今の私たちの生活でもそんなバカ?、いや正確には「バカになれる人」が実はチャンスを上手く掴めます。中途半端に小利口な人が、あれやこれやと理屈をこねまわして何もやらないうちに、「バカになれる人」は余計なことは考えず、良いと思われることに素直に取り組んでチャンスをものにします。そして幸運の女神というのは、そうして素直に取り組む「バカになれる人」の方が好きみたいです。
中途半端に小利口な人が我流の理屈で頭がいっぱいなのに対し、「バカになれる人」はいい意味で頭も心にも空っぽの部分を持っている。そこに他人の意見や教えを上手く取り入れて行動に移せる。そんな器の大きさも持っています。
日本史の人物でいうなら西郷隆盛や坂本龍馬というのは、「バカになれる人」だったのでしょう。西郷は「うどさぁ(うどの大木ぐらいの意)」と呼ばれ、自分も頭の切れる人でしたが、それを極力押し隠してバカになり切り、周囲の意見・手助けを取り付けました。龍馬も同様にバカになり切ることで、それが人間的魅力ともなり、周囲の助けを集めた。「バカになり切る」ことが出来たからこそ、明治維新という大業を成し遂げることが出来たのです。
中国史なら漢王朝の創始者・劉邦。本人は学も無く、人生の途中までは本当に村の酒場でいつも飲んだくれているような無頼漢でした。でもこの人の偉いのは「自分が何もできない」ことをちゃんと自覚して、それをできる有能な臣下に任せきることができたこと。そして自分は本当に「バカに徹して」有能な臣下たちに思う存分に力を出し切らせたこと。だからこそ、自分より何十倍も有能な項羽を相手にしての天下争いに勝ち、400年続く漢王朝を創始しました。
ヨーロッパならフランス・カペー朝の創始者であるユーグ・カペー。ユーグが王に選ばれた理由はただ一つ、「このバカならうるさいことも言われず、態よく扱える」と有力諸侯たちに思われたからです。ユーグもそのことは自覚していて、某漫才師のように「大きなことはできませんが、小さなことからコツコツと」を地で行く統治を行います。そうしているうちに着実にカペー家は基盤を強固なものとし、そしてカペー朝⇒ヴァロワ朝⇒ブルボン朝とフランスの王家は途中血筋が絶えて分家に移りますが、ユーグ・カペーの血筋に連なる王朝が800年続くことになります。
小利口な人は一時的な成功を掴むことはできますが、長続きしません。それに対して「バカになれる人」は、より多くの人の知恵や意見を結集させて、より大きな事業を成すことができます。人間どんな有能な人でも、個人の力には限界があります。一人だけで頑張ってもたかが知れています。余計な小細工を弄したり自分一人の小賢しい知恵であれこれ考えるよりも、バカになった方がより多くの人の知恵・意見・モノが集まってきます。
バカになりましょう!中途半端な小利口よりも!
【独】Die dümmsten Bauern ernten die dicksten Kartoffeln.
一番愚鈍な農夫が一番大きいジャガイモを収穫する
【仏】La fortune rit aux sots 幸運は愚か者に微笑む
【伊】Fortuna favorisce gli sciocchi. 幸運は愚か者に味方する
ちなみにドイツ語にはジャガイモが出ていますが、ジャガイモというのはドイツ料理には欠かせない食材で、18世紀プロイセンのフリードリヒ大王が「寒冷で痩せた土地でも栽培できる作物によって食糧事情の改善を」ということで勧めたのがきっかけです。
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