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時に複雑な「国の呼び方」

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

こんにちは。日本人のための世界史作家、小園隆文です。今日もブログを読んでいただき、ありがとうございます。


開催に何かと議論のあった東京2020ですが、やはり実際に競技が行われていくと、自然と注目を集めるものですね。個人的には、侍ジャパンの金メダル獲得を切に希望!


その開催国・日本の選手団が健闘して、日本のメダル獲得数は史上最多となるようです。それで変な優越感に浸る気もありませんが、やはりメダル獲得数ランキングで自国が上の方にあるのは、単純に嬉しいものです。素朴な庶民感情として。


そのランキングですが、6位~10位は欧州勢が占めています。サッカーやラグビーでは四ヶ国に分かれて戦う「イギリス」も、五輪には「イギリス」として加盟しているので、枠は一つ。その「イギリス」、この表では「英国」として表記されていますが、正式な国名は『グレートブリテン・北アイルランド連合王国』。日本で使われている「イギリス」という呼び方は、戦国時代に日本に来たポルトガルやスペインの宣教師たちが、この国を指して「イングレス」と呼んでいたのが、訛って「イギリス」に転化したもの、とされています。「イングレス」が何を指しているかは、お察しの通り「イングランド」。この戦国時代までは、イングランドとその他は完全に別の国でした。その後イングランドが力と条約にものを言わせて、他を吸収合併して出来上がったのが、俗に言う「イギリス」です。


この国の呼称に関して私見を述べれば、「Britain ブリテン」がより適切と思っています。実際、かの国でも「British Broad Corporation(BBC 英国放送協会)」や、「British Airline(BA 英国航空)」など、自国を象徴する公共放送や航空会社に、「British」と冠しているため。ブリテン島以外の北アイルランドもありますが、ほとんどイングランドのことだけを指したイギリスよりはいいのでは?と思っています。


それと同じくらいに複雑なのが、10位にあるオランダ。正式名称は「The kingdom of Netherland」。英語ではネザーランド、オランダ語ではネーデルラント、「低地」を意味する言葉で、文字通りオランダの国土の大半は海抜0m以下です。歴史的には「ネーデルラント」はベルギーやルクセンブルクも含んで使われていたことおありますが、宗教その他が原因で別々の国になり、現在ではオランダ単独の呼称です。日本で呼ばれる「オランダ」は、やはり戦国時代に日本に来たポルトガル人やスペイン人が、この国ことを「Holanda」と呼んでいたためです。これは16世紀ころ、現オランダの核となる北部ネーデルラントの中でも、最大勢力であったホラント州のことを指してその地域全体を呼んでいたのです。古代の日本で「大和」が日本全体のことを何となく指していたのと、同じ感覚でしょうか。で、この「Holanda」、そのまま普通に読めば「ホランダ」。ですがラテン系言語ではHを発音しないので、「オランダ」。これがそのまま日本で定着しました。現在、オランダ政府は各国に対して、自国のことを「ネーデルラント」と表記するよう依頼しているようですが、日本に関しては「オランダ」が定着しているのでそのままで、となっています。


同時に、この国の呼び方にはもう一つ、「Dutch ダッチ」というのもあります。これはまだオランダが正式な独立国ではなかったころ、その言葉がドイツ語と似ていたことから、ドイツ語の「Deutsche ドイッチェ ドイツ人」と一くくりにして、オランダ人のことを「Dutch ダッチ」と呼びました。その後、イギリスとオランダが通商でライバルになり、戦争も何度かすると、この「Dutch ダッチ」にはやや、オランダ人を小馬鹿にしたようなニュアンスが加わります。


Dutch account 割り勘」➾オランダ人はケチと揶揄したもの

Dutch wife 売春婦」➾アダルトグッズでもありますね…

in Dutch 困って」「Do the Dutch 自殺する」➾何と言ってよいか…


イギリス人は他国民を揶揄したり小馬鹿にする天才ですから、こういうのを他にも色々と作り出しています。見てお分かりの通り、「Dutch ダッチ」は使い方を間違えると、トラブルの元になる意味合いが含まれています。例えると、白人が日本人を差別する際の「ジャップ」に近いですかね。普通にオランダ人の意味で使う以外は、オランダ人には喜ばれないであろうことを、認識しておきましょう。


今回の五輪の開会式、日本のアナウンサーが台湾の選手団を、「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」と呼んだことが、台湾で反響を呼んでいるそうです。個人の名前同様、国の呼び方一つもアイデンティティに関わる大事なことです。こういう機会にきちんと学びたいものです。


今日はここまでとさせていただきます。

今日もブログを読んでいただき、ありがとうございました。

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​小園 隆文 こぞの たかふみ

日本人のための世界史作家

080-7181-7900

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