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【裏・大河ドラマ】家康が生きた十六世紀のヨーロッパ史    ㊲独眼竜、スペインに使節を。すわ謀叛?

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

画像 支倉常長 仙台市博物館蔵 クロード・デュリエ作 Wikipedia使用分より


こんにちは。


繋善言轂 よきことつなぐこしき 

文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家


小園隆文 です。


今日もブログを読んでいただき、ありがとうございます。



【裏・大河ドラマ】ブログ 家康が生きた十六世紀のヨーロッパ史。


禁教令を発し、駿府・江戸・京都などの幕府直轄地におけるキリスト教の布教を禁止します。事の発端は岡本大八事件という、家康の寵臣本多正純の家臣・岡本大八と、肥前・日野江藩主・有馬晴信との贈収賄事件です。が、そんなことよりもキリシタン大名有馬との交流を通して、岡本大八もまたパウロという洗礼名を持つキリシタンで、両者が自分の知らないうちに関係を深めていたこと、しかもそれが自分の寵臣の家臣という、いわば自分の身内にまでキリシタンが入り込んできたことに、一気に警戒心を強めました。これに加えてこの前年、スペイン人セバスティアン・ビスカイノによる日本沿岸の測量が行われ、「ヨーロッパではこのような行為は、侵略の前触れと解釈されます」と、アダムズ改め三浦按針から警告も受けていたことを思い出し、禁教に踏み切ることになりました。


ですがこれはあくまでも天領内、つまり幕府直轄地においてのみ適用されたので、その他の地域では今まで通り。家康が最も警戒している大坂では、豊臣家によって教会が保護されていましたし、天領においても、例えば京都ではイエズス会がそのまま存続を認められていました。ちょっとした警告の意味合いで行ったのか、大坂の脅威がいまだ残る中でのスペインとの本格的な対立を嫌ったのか、この禁教令は生温いものとなりました。


翌慶長十八(1613)年、仙台伊達藩主・伊達政宗による、遣欧使節が出発します。当初、正宗の意図としては、家康がメキシコとの通商に積極的なことを汲んで、メキシコに施設を派遣して、通商ルート開設の糸口を開こうというつもりで、ヨーロッパにまで行かせるつもりはありませんでした。しかしここでフランシスコ会の修道士ソテロが暗躍します。ソテロは正宗に具申します。「メキシコだけではなく、スペイン国王とローマ教皇にも会うべき。そのつもりがないのなら、自分はこれ以上協力できない」と。ソテロは正宗とスペイン国王・ローマ教皇を結びつけることで、伊達藩内にフランシスコ会の拠点を築き、イエズス会に対抗していく野心がありました。正宗は造船やその他の手配をソテロに任せっきりであったため、やむなくこの具申を受け入れます。これがために正宗は一時期、「スペインと結託して幕府打倒を目論んでいるのでは?」という、痛くもない腹を探られることになるのですが。結局、正宗の家臣・支倉常長を長とする慶長遣欧使節団は、メキシコはもちろん、大陸を東進してさらに大西洋を横断、スペインを訪問して国王フェリペ三世、さらにローマまで行って教皇パウルス五世に謁見。日本に帰国したのは元号も代わり、家康も死去した後、元和六(1620)年のことになりました。


この遣欧中に、支倉常長は洗礼してドン・フィリッポ・フランシスコ・ファセクラというs洗礼名を授かることに。そして使節団の中には、日本に帰国せずにそのままスペインに居つき、そこで生涯を終えた人もいました。現在でも、スペインには「ハポン」という、スペイン語で「日本」を意味する姓を名乗る人が残っています。これらの人たちは、現地に居ついた使節団員の子孫とも言われています。


同じ慶長十八(1613)年、英・東インド会社の航海司令官ジョン・セーリスが、平戸に来航。イングランドが商館を開設することを認められます。


ポルトガル・スペイン・オランダ、ここまで日本の貿易と布教を巡ってしのぎを削ってきた欧州諸国に、新たなプレーヤーとして登場してきたイングランド。ちなみにこの時点ではまだ「イギリス」とは呼べません。なぜなら本国では、ブリテン島の北部スコットランドが「同じ国」となっていませんので(国王は同じなだけに複雑なのですが…)。



今回はここまでで。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


繋善言轂 よきことつなぐこしき

文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家


小園隆文


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​小園 隆文 こぞの たかふみ

日本人のための世界史作家

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