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【ドイツ・フランス・イタリア三国史】なぜイギリスは抜けた?そこに入ってなかったから?ヨーロッパの原点回帰のフランク王国

執筆者の写真: 小園隆文小園隆文

こんにちは。文明史家・日本人のための世界史作家・生命力を高める文章家の小園隆文です。


ブログを読んでいただき、ありがとうございます。


今日は【ドイツ・フランス・イタリア三国史】ブログになります。


過去のブログを読んでいない方は、こちらからどうぞ。



768年、カロリング朝を創始したピピン三世が死去。その後は息子の長男カールマンと次男のシャルルがまた分割相続・共同統治となりますが、771年カールマン死去のため、以後シャルルの単独統治となります。


ピピン三世の時代には、「ピピンの寄進」(756年)以外にも、ボニファティウスという司教によるゲルマニア(今のドイツ)へのキリスト教普及、ローマ教皇を度々襲撃した北イタリアのランゴバルド王国の撃退などによって、フランク王国とローマ教会の関係はより密接なものとなりました。


その後を引き継いだシャルルは、さらに戦いに次ぐ戦いを重ね、王国の領土拡大とその領内へのキリスト教普及を推し進めていきます。773年には、またもやローマ教皇領を襲撃してきたランゴバルド王国を今度こそはと完膚なきまでに叩きのめし、「フランク人とランゴバルド人の王」を名乗ります。ランゴバルドというのは今の北イタリア・ミラノがあるロンバルディア州の語源になっています。この後はこの地域で金融業が発達して、ロンバルディアの人がその金融をヨーロッパ全土に広めていきました。今のロンドン・シティのロンバード街は、ロンバルディアから移住してきた人の店舗が多かったことからついた名です。


シャルルは同時に772年からゲルマニアのザクセン地方の反乱を押さえる戦争も始めます(~804)。この他にも東に西に南にと領土拡大のために戦い続け、気がつけばフランク王国の領土は西はピレネー山脈を越えたスペイン、南はイタリア北部、東はドイツのエルベ川・ハンガリー付近、さらにバルカン半島のクロアチアにまで広がる広大なものとなっていました。


これを現在の地図に当てはめると、そこに含まれるのは




フランス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルク・スイス・オーストリア・スロヴェニア・ドイツ・スペイン・イタリア・チェコ・スロバキア・ハンガリー・クロアチア・モナコ・サンマリノ


現在のEU(欧州連合)加盟国の大半。今のEUはフランク王国への回帰運動とも言えます。


ここまで強力になったフランク王国を、ローマ教会は自らを守らせるための楯、用心棒にすることを考えます。対抗するコンスタンティノープル教会には東ローマ帝国という政治・軍事の後ろ盾があるのに対して、小国の乱立が続いていた西ヨーロッパでは、ローマ教会は度々襲撃され、気の休まらない日が続きました。フランク王国に教会と教皇領を守らせれば安心です。一方のフランク王国も領土拡大を単なる侵略ではなく、「神の教えを広めるため」という大義名分を得ることができ、王国の箔付けにもなります。


そんなお互いの思惑が合致して800年のクリスマス、教皇レオ三世よりローマ皇帝として戴冠を受けます。正式には「西ローマ皇帝」です。東ローマ皇帝もいますので。以後、シャルルはフランス語では「シャルルマーニュ」、ドイツ語では「カール大帝」、イタリア語では「カルロマーニョ」と呼ばれます。特に独仏両国では「うちの国の王だ!」という歴史論争もありますが、まだこの時点でドイツ・フランスの形すらありませんし、「フランク人」としておくのが妥当でしょう。


シャルルマーニュ・カール大帝は武力で領土を拡げただけではなく、「カロリング・ルネサンス」と呼ばれる古典ローマ文明復興の運動にも尽力します。ローマ・ゲルマン・キリスト教というヨーロッパ文明の基盤をなす要素を普及させ、いわゆる日本人の多くがイメージする「ヨーロッパ」の基礎を作り始めました。その功績もあり、シャルルマーニュ・カール大帝は【ヨーロッパの父】とも呼ばれます。


ところでこのフランク王国の領土にブリテン島、すなわちイギリスは含まれていません。そのイギリスは2020年1月、EUを離脱しました。要因はもちろんそれ一つではありませんが、その深層心理にはこのフランク王国の領土に入っていないということで、「イギリスはヨーロッパではない」ということがどこかにあったのかもしれません。直近の出来事も、こうして歴史を踏まえながら眺めてみると、より深く俯瞰して観察することができます。


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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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​小園 隆文 こぞの たかふみ

日本人のための世界史作家

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